全国竹芸展25年の歩み

1.全国竹芸展趣旨

竹林に恵まれた那須地方、特に大田原市は、栃木県文化功労者の故八木澤啓造氏や重要無形文化財保持者(人間国宝)の勝城蒼鳳氏、藤沼昇氏(いずれも大田原市名誉市民)を始めとする著名な作家が多く、また多くの竹芸愛好家が活発な創作活動を展開しており全国的にも竹工芸の盛んな地域である。

 このような地域特性を生かし、本市では平成7年度に開催した『第10回国民文化祭とちぎ95・大竹芸祭』を契機として、その後10年にわたり毎年全国規模のアマチュア竹芸展を開催してきた。その経験を活かし、さらなる発展を図るべく、第11回全国竹芸展からは募集対象者をアマチュアに限定せず、広く作品を募集することとなった。

この作品展を通して竹工芸関係者の交流を図るとともに、先人たちの竹芸の技と心を受け継ぎ後世に伝え、さらなる発展に寄与することを目指す。

 

2.竹芸展会場変遷

平成8年度にふれあいの丘で始まった全国竹芸展は、第7回(平成14年度)からは那須野が原ハーモニーホール、第14回(平成21年度)からは与一伝承館多目的ホールと場所を変えながら、24回の歴史を重ねてきた。展示会場内には、即売会場や実演スペースなど、芸術作品としての竹工芸作品を見てもらうだけでなく、生活に根付いた身近な竹芸品を感じてもらう場も設置した。

第9回(平成16年度)からは宇都宮市の栃木県総合文化センターでの巡回展を開催し、平成19年度には与一伝承館及び竹芸作品を展示する竹のギャラリーが完成し、同年度から竹のギャラリーにて入賞作品展を開催している。平成21年度からは本展も与一伝承館の多目的ホールでの開催となり現在に至る。 

 

竹芸展会場の様子

第12回(平成19年度)

本展(那須野が原ハーモニーホールにて)

第19回(平成26年度)

巡回展会場(栃木県総合文化センター第2ギャラリーにて)


第20回(平成27年)

実演コーナー(那須野が原ハーモニーホールにて)

第22回(平成29年度)

オープニングセレモニー(与一伝承館竹のギャラリーにて)


第24回(令和元年度)

審査会(与一伝承館多目的ホールにて)

第24回(令和元年度)

即売会(道の駅那須与一の郷 情報館にて)

第24回(令和元年度)

竹芸展会場前に勝城蒼鳳氏が作成したオブジェ(与一伝承館にて)


3.出品者数の推移について

 24回の歴史の中、30もの都府県から3000点を超える作品の応募があった。

開催地である栃木県からの出品が7割近くを占めており、24回中10回は栃木県の出品者が最優秀賞を受賞している。

次点で千葉県からの出品が多く、250作品もの応募があった。千葉県では竹工品が県指定の伝統的工芸品に指定されていたり、竹工芸の保存会が存在していたりと、地域として竹工芸の文化が根付いている。最優秀賞受賞は第1回に始まり6度あることも、千葉県の竹工芸のレベルの高さを感じることができる。

 関東地方からの出品が9割を占める中、関東圏外で唯一、総出品数が50を超えているのが大分県である。大分県の竹工芸は伝統的工芸品にも指定され、重要無形文化財保持者(人間国宝)も輩出している。千葉県に並ぶ6度の最優秀賞を受賞しており、第19回(平成26年)から第23回(平成30年)までの5回連続で大分県からの出品者が最優秀賞を受賞していた。関東圏の出品作品と比較すると、造形的な作品が多く、第13回から第24回までの12回連続で上位入賞者を輩出している

 


 第1回では8割を占めていた栃木県の出品者が、第24回では6割を下回るようになっている。県外の出品者が徐々に増えていることは喜ばしいことだが、同時に栃木県内の出品者数が減少していることも県外出品者の割合が増加している要因に挙げられる。減少傾向にある栃木県内の出品者数を増やしながら、県外出品の割合を増やしていくことを目指したい。

 

4.来場者の推移について

 年によって大きくバラつきがあるが、ここ数年は3,000人前後の来場者数がある。栃木県内を中心に、遠くは近畿、中国、九州地方からの来場もある。竹工芸のさらなる発展のため、来場者数の増加を図りたい。