第14回全国竹芸展入賞作品(平成21年度)

最優秀賞

千鳥編花籃「潮華」

 友成 晴美〔大分県豊後高田市〕

サイズ:21×21×36.5

 てもモダンな感覚で、デザイン性にすぐれ、ほぼ満票で文句無しの最優秀賞に選ばれた。

 二重編みになっている外側は、スッキリした縦線がバランス良く2色に配色され、その上に緻密な千鳥編の大きな面が、大胆に斜めにかぶさる事で、あたかも回転しているかのようなムーブマンを生み出している。

 線と面のシンプルな構成による竹工芸ならではの、やさしく、しかも力強い作品である。

あえて複雑な形にせず、優れた技術力をさりげなく凝縮させているところに完成度の高さを感じた。

-藤原 郁三-

優秀賞

花籠

 井上 数夫〔福岡県福智町

サイズ:43×33×16

 ツートン千鳥編の水盤形花籠。煤ササラ縁は適度な太さで形を締めている。

 編分段差の斜線は、平凡な形を引立て粋である。

 しかし、編外側の波状縄編は無用。

-本間 一秋-


鉄線編組花籃「礎」

 井上 守人〔栃木県那須塩原市

サイズ:18.5×46.5×25

 鉄線編のパーツを三個作り、それを組んで造形してある。明るい編に対して縁当の色を強くして輪郭線を強調し、形の円やかさを演出し、現代感覚をアピールしている。

-勝城 蒼鳳-


連続桝網代盆

 柳澤 智香子〔栃木県大田原市

サイズ:42×42×7

 八角形の盆型で、立ち上がりが直立したがっちりした構成を見せている。見込は三種類の幅による桝形を表し、それを花丸網代にまとめている。立ち上がりは縦網代編とし、上下を太めの竹でしっかりと止めている。それが力強いしっかりとした形態感を醸し出す。底を二重にし、間に和紙を接着して強度を増している。全体を金茶染の濃淡で染めている。

-金子 賢治-


デザイン賞

夫婦スタンド

 鈴木 欣男〔栃木県宇都宮市

サイズ:14×14×55

 丸竹の一部を縦に割って開けたところに、麻の葉で明が漏れるようにデザインされている。爽やかなイメージが伝わって、今迄にはない新鮮味のある作品に仕上げられている。

 竹の持ち味も存分に生かされ、無理のないデザインは粋である。

-勝城 蒼鳳-


盛籠「草原」

 髙木 政美〔栃木県益子町

サイズ:25×34×18

 両サイドが強く湾曲して反り上がった形態をした盛籠である。その湾曲の仕方が実に力強い印象を与えるように作ってあり、形全体を引き締め、現代的な感覚を与えている。二重に作ってあり、表は松葉編、底は網代編としている。間に和紙を張って接着している。取手も実に神経細やかな作りを見せており、全体のデザイン感覚もよい。

-金子 賢治-


マイバッグ

 前田 悦子〔栃木県那須塩原市〕

サイズ:14×33×40

 晒竹の桝アジロ編半楕円バッグ。

 抱合せ削取手と梅花取付飾、更にサーモンピンク布の内袋端の三角止具等々、美しいハンドバッグで使いよさそうである。

 題名「マイバッグ」に示す様に、心を込められた愛着の持てる快作である。

-本間 一秋-


新人賞

八角盛皿

 関矢 嘉行〔千葉県佐倉市

サイズ:33×33×8

 素材の幅と色を変化させて編まれた八角の盛皿(盛籃)で花枡網代で編まれ、この作品は大らかな文様で色調も良く、竹の素材感も損なわれず、外側も同じ網代ですが一色で編まれ、内側を引き立ており、形も硬くならずに仕上げ魅力を感じます。

-勝城 蒼鳳-


無双編盛篭

 瀧野 良弘〔栃木県大田原市

サイズ:27×30×30

 外側は無双編だけの何の変哲もない作品だが、内側の底に網代編による波模様をつけてポイントにしている。

 なんといってもこの作品の見どころは取手の大きな円であろう。

一見大きすぎるように思えるが、取手の円形の中に篭がすっぽり収まっている為、全体に円の回転運動を感じる。

 この作家のバランス感覚の良さに将来性を買った。

-藤原 郁三-


白竹網代文手提げ篭

 平 郁夫〔埼玉県鴻巣市

サイズ:13×19×21

 どっしりとした温かみのあるフォルムに軽やかなリズム感、なんと言っても取っ手のボリュウムに好感が持てました。側面の網代編みのテクスチャーも透明感を感じさせ細やかな知性が窺われます。人をひきつける構成とその期待に負けない布とのコラボレーションは飽きのこないシンプルな形で纏めた作者の感覚の良さが光った作品です。

-日原 公大-